今日は、**「なぜ僕が、ここまで姿勢分析にこだわっているのか」**について、少しお話ししたいと思います。

僕のところでは、来店されたらすぐに身体を揉んだり、いきなり施術を始めたりするのではなくて、まずその方の身体を詳しく分析することをすごく大切にしています。

「そこまで細かく調べる必要があるんですか?」

と聞かれることもあります。

でも実は、僕がここまで分析にこだわるようになったのには、理由があります。

これは最新の分析機器を導入したからとか、最初から分析を専門にしようと思っていたとか、そういう話ではありません。

原点は、もっと昔にあります。

僕は以前、接骨院で施術のアルバイトをしていた時期がありました。

当時の僕は、本当に未熟でした。

今振り返れば、知識も技術も全然足りていなかったと思います。

目の前のお客様から、

「肩がつらい」

「腰がつらい」

と言われたら、自分が知っている施術をとにかく一生懸命やる。

でも、全然改善させられないんです。

どうして良くならないのかも分からない。

何を変えればいいのかも分からない。

それでも自分が知っている技術を使って、なんとかしようとしていました。

そんなときのことです。

施術が終わったあと、お客様が僕に、

「ありがとう」

と言ってくださったんです。

普通なら嬉しい言葉ですよね。

もちろん僕も嬉しかったです。

でも、それと同時に、ものすごく悔しかったんです。

なぜなら、自分では分かっていたからです。

「僕は、この人を本当の意味では改善させられていない」

それなのに、その方は僕に「ありがとう」と言ってくださった。

そのとき初めて思いました。

「この“ありがとう”に、本当の意味で応えられる技術者になりたい」

もっと身体のことを知りたい。

もっと技術を身につけたい。

そして、目の前の人を本当の意味で改善に導ける技術者になりたい。

僕がこの仕事を深く追求するようになった原点は、たぶんあのときだったと思います。

そこから、身体のことや施術について、とにかく勉強するようになりました。

もちろん施術技術もたくさん勉強しました。

でも、勉強すればするほど、ある疑問が大きくなっていったんです。

それが、

「そもそも、なぜこの人は良くならないんだろう?」

という疑問でした。

肩が凝っているから、肩を揉む。

腰が張っているから、腰を緩める。

猫背だから、胸を張る。

反り腰だから、腹筋を鍛える。

確かに分かりやすいですよね。

でもあるとき、

「それって、本当にその人の身体を調べたうえでやっているのかな?」

と思うようになったんです。

もしかしたら、

「肩が凝っているから肩が悪い」

「反り腰だから腹筋が弱い」

と、こちら側が勝手に答えを決めているだけなんじゃないか。

そこで僕の中で、

「何をするかを考える前に、まずもっと調べなきゃいけない」

という考えがどんどん強くなっていきました。

例えば、同じ反り腰に見える方が10人いたとします。

でも、その10人全員が同じ身体の使い方をしているとは限りません。

立っているときに腰を反ってしまう方もいる。

歩いているときに腰を反ってしまう方もいる。

呼吸するときに肋骨を大きく持ち上げてしまう方もいる。

片脚ばかりに体重をかけるクセがある方もいる。

特定の筋肉ばかりを使っている方もいる。

つまり、見た目は同じ「反り腰」でも、

身体の中で起きていることは、一人ひとり違う可能性があるんです。

だったら、

「反り腰だからこの運動をしましょう」

ではなくて、

「あなたの身体では、今、何が起きているんですか?」

ここから始める必要がある。

それが、今の僕の考え方です。

僕はよく、

「地図を持っていても、現在地が分からなければ目的地にはたどり着けない」

という話をします。

これって、姿勢改善もまったく同じだと思うんです。

今はYouTubeやInstagramを開けば、

「猫背にはこれ」

「反り腰にはこれ」

「巻き肩にはこのストレッチ」

と、いくらでも方法が出てきます。

つまり、地図はたくさんあるんです。

でも、一番大切な、

「自分は今どこにいるのか」

が分かっていない。

現在地が分からないまま地図だけ増やしても、どちらへ進めばいいのか分かりません。

だから僕は、

方法を探す前に、現在地を調べる。

ここをすごく大切にしています。

そして、もう一つ大切にしていることがあります。

それは、立った姿勢だけを見て判断しないということです。

なぜなら僕たちは、整体院の中だけで生活しているわけではありません。

立つ。

歩く。

座る。

呼吸する。

こういった動作を毎日繰り返しています。

しかも、そのほとんどは無意識です。

だから僕が本当に知りたいのは、

「施術ベッドの上で身体がどうなっているか」だけではありません。

普段、その人がどう立っているのか。

どう歩いているのか。

身体を動かしたとき、どの筋肉を使っているのか。

逆に、どの筋肉をうまく使えていないのか。

そういった日常生活の中にある身体の使い方まで見ていきたいんです。

だから現在は、姿勢を見るだけではなく、歩行を撮影したり、動作を確認したり、筋活動量を分析したりしながら、

その方の身体の使い方を、できるだけ客観的に見える形にする。

ということを大切にしています。

ただ、ここでも誤解してほしくないことがあります。

分析をしたからといって、

「はい、あなたの原因はこれです」

と簡単に決めたいわけではありません。

まず見る。

調べる。

情報を集める。

そこから、

「もしかすると、ここが関係しているんじゃないか?」

と仮説を立てる。

そして実際に身体を動かして確認する。

違っていれば、また仮説を修正する。

この繰り返しです。

だから僕にとって姿勢分析というのは、

答えを決めつけるためのものではありません。

むしろ逆です。

決めつけないために、分析するんです。

僕はここを、ものすごく大切にしています。

もし今、

「ストレッチを続けているけど変わらない」

「マッサージに通っているけど、また元に戻ってしまう」

「いろいろな筋トレを試したけど、自分には何が合っているのか分からない」

そんなふうに悩んでいる方がいたら、新しい方法を探す前に、一度考えてみてほしいんです。

「自分の身体の現在地を、本当に知っているだろうか?」

ストレッチが足りないのか。

筋力が足りないのか。

歩き方に特徴があるのか。

日常生活の中で、特定の筋肉を使い過ぎているのか。

それとも、自分が今まで問題だと思っていたところとは、まったく別の部分を見直す必要があるのか。

これは、きちんと調べてみなければ分かりません。

僕自身、この仕事のスタートは、

目の前のお客様を全然改善させることができなかった技術者でした。

それでも、そんな僕に、

「ありがとう」

と言ってくださった方がいた。

あのときの言葉を、僕は今でも覚えています。

だからこそ、

なんとなく揉まない。

なんとなく運動を勧めない。

見た目だけで身体を決めつけない。

「何をするか」の前に、「なぜそれをするのか」を考える。

そのために、まずその人の現在地を徹底的に調べる。

僕にとって姿勢分析は、最新の機械や数字を見せるためのものではありません。

目の前の一人を、僕自身の思い込みで判断しないためのものです。

そして、

あのときいただいた、

「ありがとう」

という言葉に、本当の意味で応えられる技術者であり続けるためのものです。

これが、

僕が今、姿勢分析にこれだけこだわっている理由です。